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コラム11 <大徳寺曝凉展見学レポート 〜初級クラスの“遠足” 2009.10.11〜>   
                                   修復基礎
初級クラス 中野美佐子
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 心配された台風も足早に通り過ぎて、快晴に恵まれた10月11日(日)、初級クラスメンバー6人で、大徳寺(本坊・高桐院)の曝凉展に出かけた。この“遠足”は、8月のサマーセミナーの折に「曝凉展」という行事があることを聞き、仲間内で一気に具体化して、実現したものである。

 大徳寺には書画をはじめ、工芸品や建築物など、数多くの文化財が伝えられている。一年に一度だけ、10月第2日曜に行われる「曝凉」という行事は、寺院の奥で大切に保管されているこれら文化財を虫干しするのに合わせて一般公開するもので、美術館での展示のようなガラス越しではなく、間近に見ることのできる貴重な機会であり、また普段非公開である本坊に一般人が入ることを許される数少ない機会でもある。
本坊へは、庫裏(重文)の西出入り口から入る。かまどのある土間は屋根裏までの吹き抜けで、太く力強い梁を見ることができる。広敷と呼ばれる板敷の廊下の床は見事に磨き上げられていた。
広敷を通り抜けると、唐門(国宝)のある庭園(名勝)に面した方丈(国宝)の広い縁側に出る。方丈は大きな建物で、天井も高く、四方にぐるりと広縁がある。
数々の書画は、国宝も重文もみな同様に、方丈の広縁に面した大小6室の四方の壁やふすまの上に、天井近くの高さから所狭しと掛けられて、吹き抜ける風に揺れていた。本当に“虫干し”なのだ。虫干しが第一の目的であるため、見やすい高さに掛けられているとは限らず、照明もない。正直なところ、良く見えないものもあった。また、通りかかる見学者に、縁側からの光を遮られることもしばしばだったが、本来はこのような光の中で見るのが正しいのかもしれない。
一部の部屋では、隣の部屋との間のふすまが開け放たれ、それぞれの部屋に掛けられている書画を裏から見ることができた。光で透かして裏から観察できるのも、展覧会等ではあり得ないことだろう。見学者は思い思いに書画を鑑賞したり、縁側から庭や唐門を眺めたりしている。

 ずっと見ていたい、時間を忘れそうな空間だった。

 昼食をはさんで、午後は高桐院を見学。こちらは木立に囲まれて静かな佇まいである。普段から公開されているが、やはりこの日だけは客殿と書院の一室で虫干しをしている。特に、書院の方は12畳ほどの部屋に書画が集中しているので、文字通り手の届くところに書画が掛けられている。私たち見学者が誤って傷つけてしまうようなことが起こらないのかと、こちらが不安に思うほどである。
長い時を大切に守り伝えられてきた貴重な書画たち。多くの“本物”に触れ、みなそれぞれいろいろと刺激を受けたようである。
しかし私たちにとってはそれ以上に、この“遠足”は意味があったと思う。普段教室で、講座の内容以外に話す時間もなかった私たちが、これを機会に密に連絡を取るようになり、当日参加した人とは時間を忘れてさまざまな話題で盛り上がり、残念ながら参加できなかった人も、土産話とともに話す機会が増えた。
 前より少しお互いを知り、交流を深めるきっかけを得たこと。それがこの日の一番の収穫だったかもしれない。


*参考資料*
 『大徳寺の名宝:曝凉展図録』(大徳寺 1997.10)
 『日本名建築写真選集12 大徳寺』(新潮社 1992.12)
大徳寺(本坊・高桐院)パンフレット
 高桐院寶物曝凉目録

  

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